糖尿病について
私の働いている診療所には、感冒や喘息、高血圧などさまざまな患者さんが訪れます。そこで働くうちに、健診をまったく受けたことがない人、せっかく糖尿病を指摘されても放置する人、治療をはじめても通院を中断してしまう人が大変多いことを実感するようになりました。平成28年の厚生労働省の調査では糖尿病が強く疑われる人」は約1000万人います。そのうち糖尿病の治療を受けている人の割合は76.6%です。働き盛りだからでしょうか、40歳代の男性の受診率がもっとも低く、51.5%しかいませんでした。
なぜ放置する人が多いのか
ではなぜ糖尿病を放置する人が多いのでしょうか。それは、糖尿病は症状が乏しいため自分が病気であることを自覚しにくく、治療が必要であることに納得し難いからです。それだけでなく、糖尿病の治療は患者さんに多くの負担を強います。糖尿病は生活習慣の影響を受けるので、治療では自己管理を必要とされます。このため食事療法や運動療法がうまく実行できないことを医療従事者から厳しく批判されたりすると、通院する意欲が低下します。
批判されることを避けたい気持ち
以前、過去に通院を中断したことがある人を対象にして当院でアンケート調査を実施し、中断した理由を尋ねたことがあります。そこで最も多かった回答は「もっといい検査データがでるように食事、運動療法をがんばってから受診しようと思い、ついずるずると遅くなった」というものでした。
血糖管理が悪いと、つい自分の生活態度が悪かったと批判されたような気になるのでしょう。糖尿病のデータがよければ生活態度がよく、逆に悪ければ生活態度が悪い-血糖コントロールの良し悪しを、そのような道徳的な価値観で評価される傾向があるのかもしれません。近年、糖尿病が原因となってこのような誤った認識に基づく偏見によるスティグマや社会的不利益が生じていることが注目されており、学会、患者団体、行政によるアドボカシー(支援)活動を通じて、これを取り除くよう努力しています。
放置をすると合併症が進行し、手遅れになることも
糖尿病を放置することは何が問題なのでしょうか。それは放置をすれば合併症が進行するからです。糖尿病が原因で失明する方が年間約3,000人、血液透析の導入は年間約1万5689人(2020年12月時点)で原因のトップです。
ある研究では失明者の中の約30%に半年以上の通院中断者がおり、さらに通院中断者の方が通院継続者よりも、2.6倍早く失明が訪れたことが報告されています。しかし、そのような合併症は血糖コントロールと血圧の管理を良好にすれば予防できることが、数多くの大規模臨床研究で示されています。
糖尿病を放置しないようにしましょう
糖尿病は自覚症状が乏しいため症状だけでは病気の状態を判断することができません。また、生活習慣の乱れであっという間に検査データが悪くなります。医療機関を受診し、血糖や血圧等のコントロールがきちんとできているかを確認していくことが大切であり、通院することは合併症を予防するために一番基本となる行為なのです。糖尿病を放置しないようにしましょう。
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